『白闇の竜姫』

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  ------------- と、いうのが2ヶ月前。 2人のハンターは見事に『老山龍』を討伐した。そしてギルドから多額の報酬を貰い、ジャックは『漆黒の双魔』セツナは『白竜姫』と呼ばれるようになり、世界規模で有名なハンターとなった。     「あっはっは!こんなに有名になるなんてなぁ?しばらく金に困んねぇな!?」 「なんで貴方はいつもお金の事ばかりなんですかぁ…」 2人が訪れているのは『ココット村』と呼ばれる田舎町で、ここの村長はかつて『ココットの英雄』と呼ばれるほどの凄腕ハンターだった。 その村長に呼ばれて村に来た2人は今、ココット村のギルドの集会所でビールを飲んでいた。ジャックは兜を外して、上機嫌。顔を真っ赤にして高笑いをしている。爽やかな黒い短髪を乱し、普段凛々しく鋭い顔付きは見事に崩れている。 それに対してセツナは顔色ひとつ変えずに平然と飲んでいた。恐らくジャックの倍ほど飲んでいると思われる。  「奢るとは言ったが、ここまで喰って呑むとは………」 ココット村の村長は2人の食べっぷり飲みっぷりを見て冷汗を流して言った。 「奢りとなりゃ徹底的に…だ!!」 「なんですか…それ………」 当たり前と言わんばかりに笑うジャックに呆れるセツナ。2人を見ながら村長の笑顔が徐々に消えていく。そしてやがて口を開いた。「君達をこんな田舎まで呼んだのをまず謝りたいと思う…済まなかった。そしてありがとう。」 村長の急な態度の変化に不審に思ったセツナはジョッキをテーブルに置いて、真剣な顔立ちになった。 「普通の仕事の依頼であればギルドを通すのがルール…それなのに直接の依頼にその上それをギルド側は容認。……何か大変な事が起きてるのですか?」 「ふむ………『デンセツ』が目撃されたのじゃ」 「『デンセツ』?」
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