黒き死神、白き死神

3/31
500人が本棚に入れています
本棚に追加
/387ページ
「バーミリオン隊、出撃!」 ロイドの声がヘッドフォンに響き、続けて別の声が響く。 「バーミリオン2、ウィッツ・ブルーノ、出る!」 「バーミリオン3、レベッカ・チェーン、行くよ!」 サブディスプレイの通信用モニターに二人の顔が映り、消えた。 カタパルトデッキに接続された二機は、空戦用装備を施しアースガルズから飛びたつ。 「バーミリオンリーダー、ロイド・バーナード、行くぞ!」 続いてロイドのフレィ・クエンサーも飛び出した。 その様子をディスプレイで覗いていたアキラは、ヘルメットを小突かれ視線を上げる。 「聞いてるのか?」 ハッチ付近にいるメカニックマンが、怒ったようにアキラの顔を覗き込んだ。 「あ、はい」 メカニックマンはため息をつくと、ディスプレイ越しに説明を始めた。 「OSは、基本的なことしか出来ないようになってるから。あんまり激しすしぎる行動は慎むようにな」 「分かりました」 メカニックマンは「頑張れ」と言った後、ウートガルトから離れていく。 アキラは黒いヘルメットの後頭部にあるスイッチを押して、バイザーを下ろす。 大丈夫だ……自分から撃つんじゃない……落ち着け……。 自身に言い聞かせ、アキラはハッチを閉めて操縦桿を握る。 シールドとプラズマビームライフルを自動で掴み、ウートガルトはカタパルトデッキまでゆっくりと歩いて行った。
/387ページ

最初のコメントを投稿しよう!