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アキラ達を追うバーニミアスでは、既に戦闘態勢が整っていた。
「ふふふ……」
隣でいきなり笑った男を見て、艦長は目を細めた。
白を基準とした軍服に身を包んだ彼らは、新たに創られた特殊部隊『クルセイダーズ』。
敵側の偵察機を撃ち落とし、その位置関係を計算してたった今TRB隊を発進させた所だった。
艦橋窓から見える数多の光。
スラスター光からちらちらと見える尖った肩、やけにほっそりとした脚部。
その白い装甲から、連合の空戦用TRB、TRB-F2『クォンタム』が飛んでいるのが分かる。
もう少しすれば、戦闘の火球が散ることだろう。
「よぅし! 主砲照準、取り舵一杯、ミサイル装填よし! 異常は?」
やけに陽気な声で話す男に、クルーは呆れることなく返事を返す。
「ありません、中佐殿!」
男は得意げに鼻を鳴らすと、艦長に向いた。
「見せてもらおうか。彼奴の実力を……ね」
「そう簡単にいきますかな?」
「いくさ」
艦長に自信満々の笑みを浮かべ、男は言う。
「宝箱をちょいとちらつかせれば……ね」
声のトーンを下げても、アトラス・ノア中佐から笑みは消えていなかった。
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