PROLOGUE

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地球連合軍アラスカ基地の司令塔は、けたたましいサイレンと通信士の怒声に塗れていた。 大規模な基地といえども、一度に二隻も三隻も『宇宙戦艦』の類が着陸するのだ。 その忙しさは計り知れない。 「迎えのジープを早く出せ! TRB隊も準備だ!」 司令官の指令を迅速に、しかも正確に伝える。 何時の世も通信士は欠かせないものだ。 それでもかなりの忙しさに、司令官は悪態を付くしかなかった。 「月面人どもが……」 アキラ達は、アースガルズのメカニックマン達に促され、先にジープに乗り込んだ。 軍用のジープ四台が一列に列び、コンクリートの上を走り抜ける。 皆連合軍主力TRBであるTRB-D4『ガナード』を眺めながら、コートに口元を埋めていた。 焦げ茶色の装甲にかくかくした形状、フルフェイスのような頭部、光学センサーを覆うバイザーは暗い影を落としている。 そんな中、アキラの目には、アースガルズから運び出されるコンテナ群だけが映っていた。
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