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この学園の図書室には幽霊が出るのだと、転校初日に誰かが囁いた。
だから誰も図書室には近付かないのだと、別の誰かが頷いた。
何処の学校でも変わらない。転校生はからかいの対象にはうってつけなんだ。
゛嘘だと思うなら、そら、放課後に図書室に行ってご覧?゛
゛キミ、幽霊なんぞ居ないって、是非証明してくれよ。行ったと言う証拠に、何か本を借りてきてくれよ゛
下らないとは思ったけれど、これが転校生への洗礼なのだと思えば、随分と軽い物だと思う。
行った図書室で生徒達が待ち構え、陰湿な゛洗礼゛をされるので無いなら、本を適当に借りてお仕舞いだ。
校舎の外れに位置する図書室は、時計塔の真下に当たる場所だった。
生徒達が言う様に、確かに僕以外の生徒は見当たらない。
どうやら゛幽霊の噂゛は本当らしい。
受付カウンターには、係の生徒すら座って居ない。
「本当に誰も居ないのか…呆れた学校だな」
静かに広い図書室は、幽霊が居ない迄も、確かに不思議と幻想的でともすると不気味さも感じさせる空間だった。
「君は神を畏れるかい?」
その声は、図書室の奥、僕の背後から聞こえてきた。とても澄んだ、良く通る声だった。
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