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家柄を捨て、国を捨て、逃げていた母と私を拾って下さった旦那様には、感謝の限りを尽くしても足りなくらいです。
母は給仕として、
私は5歳年下のご子息のヘイズ様付の執事として、
また広いお庭の庭師として、
ブレイク邸に住まわせていただきました。
執事と庭師の両立は、
なかなかに大変でしたが
尽くしてきたつもりです。
旦那様に拾われてから私は幸せでした。もちろん、母もそうだったのでしょう。
しかし、お屋敷に住まわせていただいてから10余年あまりで母はこの世を去りました。
私が20歳の時でした。
母はもともと太り気味でしたので、長生きはできなかったのはわかっていましたが、
原因はきっと私にあるのです。
当時、私は旦那様のご好意により学校に通わせていただいていました。
私が学校に行っていてお屋敷に尽くせない分、母が代わりによりよく働いていたのです。
母は私の所為で死んだのだという念が私を支配しました。
しかし、私にはヘイズ様が居たのです。いつも忙しい旦那様も、お屋敷に戻られている間はずっと気に掛けてくださった。
それに、私はもう大人でした。私は旦那様に引き続き学校に通うよう言われ、私はそれに応えるように学校に勤勉に通い、お屋敷ではヘイズ様の執事としてよく働きました。
そうして、変わらずブレイク邸で生活させていただいているうちに、母の亡くなった2年後、ブレイク邸に新しいご家族が増えたのです。
5歳の少女でした。
お名前はプリシラ様といい、プリシラ様は旦那様が修道院から養子として引き取られたのです。
花のように可憐で、元気がキラキラと輝いていました。
少々お転婆なのが珠に瑕でしたが・・・・・・。
プリシラ様は私のような歳の離れた者でも眩しいくらいの笑顔で話しかけてくれました。
もちろんヘイズ様ともすぐに仲良くなられました。
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