= 第2章 = ヘイズィ・ムーン

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「あははは!」 1905年、 イギリスはイングランドの南東部の某所――。 家主の信条をそのまま反映したかのように、 どっしりと屋敷を構えているブレイク邸。 その広大すぎる庭のちょうど真ん中の噴水辺りを、 フリルに身体を包まれた少女が楽しそうにゆらゆらと揺れていた。 「うふふふ! 今日もお日様が プリシラを暖かく包んでくれるの!」 くるくると回って、 誰に話しかけているわけでもない少女――プリシラは、 年の瀬16ほど。 白いフリルとエンジ色の生地が絶妙に重なっている隙間から、 黒い艶やかな長髪がプリシラの動きに合わせてなびいている。 くるくる、 くるくる、 と少し目まぐるしいくらいにプリシラは回る。 そのうち、庭の中心からするりとバラ園に入っていった。 プリシラの背丈より10センチくらい小さい高さに整えられたバラに、 プリシラは眩しい笑顔をふりまいた。
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