5人が本棚に入れています
本棚に追加
「あははは!」
1905年、
イギリスはイングランドの南東部の某所――。
家主の信条をそのまま反映したかのように、
どっしりと屋敷を構えているブレイク邸。
その広大すぎる庭のちょうど真ん中の噴水辺りを、
フリルに身体を包まれた少女が楽しそうにゆらゆらと揺れていた。
「うふふふ!
今日もお日様が
プリシラを暖かく包んでくれるの!」
くるくると回って、
誰に話しかけているわけでもない少女――プリシラは、
年の瀬16ほど。
白いフリルとエンジ色の生地が絶妙に重なっている隙間から、
黒い艶やかな長髪がプリシラの動きに合わせてなびいている。
くるくる、
くるくる、
と少し目まぐるしいくらいにプリシラは回る。
そのうち、庭の中心からするりとバラ園に入っていった。
プリシラの背丈より10センチくらい小さい高さに整えられたバラに、
プリシラは眩しい笑顔をふりまいた。
最初のコメントを投稿しよう!