宿った命

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待合室では心配そうに浩二が待っていた。 「どうだった…??」 「妊娠してるって。 今2ヵ月だって。」 「そっか…」 そのままお互い無口になってしまった。 でも、手だけはしっかり握っていてくれて、温かさが残った。 会計を済まし、中絶同意書をもらい、産婦人科を後にした。 「美香。 ごめん。 俺、バイト戻らないと… 1人で帰れる??」 そっか…。 浩二、バイトに戻っちゃうんだぁ…。 もうちょっと一緒にいたかったんだケドな。 そんな気持ちを押さえて… 「平気だょ。 浩二はバイト頑張ってね。」 私うまく笑えてる…?? 「俺色々考えるから。 美香も考えて?? したら、会って話そう??」 「分かった。」 次の約束を交わし、駅で別れた。 その日は、どうやって家に帰ったのか、何を思っていたのか、まったく覚えていなかった。 気付いたら家にいて、眠りについていた…。
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