プロローグ

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「ねえ、おねえさん。何かお話聞かせて」 やがて退屈したのか、下の娘が女性にせがみだした。 「あら、そうね。何がいいかしら。アインハザード様が世界をお創りになったお話?エルモアデンの、最後の王様のお話?」 何気ない言葉だったが、父親はローブの女性が博識であることを伺い知ることができた。 やはり、それなりの家柄で、きちんとした教育を受けた人物なのだろう。 「騎士とお姫様の恋のお話がいいな」 上の娘が口を挟むと、下の娘も瞳を輝かせる。 父親は娘達のおませな発言に、苦笑を禁じえなかった。 「ま、どうしましょう・・・。そうね、じゃあ・・」 女性は、己の頬を抱え込むようにして思案していたが、やがて静かに語り始めた。
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