32人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねえ、おねえさん。何かお話聞かせて」
やがて退屈したのか、下の娘が女性にせがみだした。
「あら、そうね。何がいいかしら。アインハザード様が世界をお創りになったお話?エルモアデンの、最後の王様のお話?」
何気ない言葉だったが、父親はローブの女性が博識であることを伺い知ることができた。
やはり、それなりの家柄で、きちんとした教育を受けた人物なのだろう。
「騎士とお姫様の恋のお話がいいな」
上の娘が口を挟むと、下の娘も瞳を輝かせる。
父親は娘達のおませな発言に、苦笑を禁じえなかった。
「ま、どうしましょう・・・。そうね、じゃあ・・」
女性は、己の頬を抱え込むようにして思案していたが、やがて静かに語り始めた。
最初のコメントを投稿しよう!