序章

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仮想19世紀末― “暗黒の3日間”を懸けた戦いは、黒の教団の勝利で終わりを告げた。だが、黒の教団は多くの犠牲を出した。 生き残ったのは、3人の元帥だけになった。イレナ・ウォーカー、神田セツ、そして…カレン・フィシユナ。 残った元帥は大元帥より、授けられしイノセンスを持ち、新たな使徒を探す旅に出た。 時は巡り、仮想20世紀― カレンがアメリカに入った途端、一つのイノセンスはカレンの手を離れ、遥か彼方へ飛び去った。 『お行きなさい…選ばれし使徒の元へ…』 ゴーレムの誘いに、カレンはイノセンスを追い進んで行く。 辿り着いたのは、カリフォルニアの海岸。日も沈みかけ、薄暗い中から美しい調が聞こえる。 調を頼りに進んで行くと、砂浜で踊りながら歌う少女がいた。見る者を引きつけ離さないその歌声にカレンはしばし耳を傾けていた。歌と踊りが終わると、カレンは少女に拍手を贈った。 「…美しい調をありがとう」 「あなたは…?」 カレンは少女に近付いた。刹那、カレンのイノセンスが眩い光を放った。まるで共鳴しているようだ。 同時に少女の喉が光る。そして先程のイノセンスが少女の前に舞い降りた。 「まさか…彼女が?!」 やがて光が収まり、純白の剣が現れた。
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