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どっ―――
――ガァァァァァァン!!!!!
右手、床、床に着いた、頭、肩と腰、鈍い痛み。辺りに悲鳴。
「――っくそっ!」
辺りの状況が良く解らない。
影の右手を避けて跳躍、次いで爆音、そののち着地。
待て待て。爆音って、爆発物?冗談じゃないっ、いやいやアイツは素手だった。それじゃ爆音は何故?駄目だ。頭が回らない。
周りは埃と白煙で何も見えない。男女人種混じった悲鳴で何も聞こえない。
影がどこにいるかも解らない。
「おい!キリ!…大丈夫か」
混乱の最中、不意に腕を掴まれた。
ルチの声だ。
「だっ、大丈夫かって誰が?結局どうなってんだ!」
「とにかく落ち着け。外に出る」
回らない頭のまま、腕を引かれて外へ出る。
視界はゼロだったのだが、冷静なルチはこういう時頼りになる。
白煙は外にまで漏れていた。さすがに視界を塞ぐ程では無いが。
ガゴンッッッ!!!!!
音に振り返ると、【トリカゴ】の左側天井が吹き飛んでいくのが、暗闇の中でも見えた。
多分…良く解らない(ワカリタクナイ)が、影が暴れて居るんだろう。
とにかく【トリカゴ】から離れないと…
「多少、落ち着いたか?」
路地を進み、喧騒から離れた所まで来た時、ルチが口を開いた。
「何とか…。さっきよりは大丈夫」
我ながら情けない返答だ。
「ならいい。とにかくウチに来い。…あの黒いのに見付かりでもしたら面倒だ」
「ウチって…ここがどの辺りか判るのか?」
がむしゃらに逃げてて、それどころじゃ無かったぞ?
俺の言葉に、ルチはやれやれと言った表情で
「当たり前だろう。北に行ったら別の意味で危険だし、知らない道を逃げるより知った目的地を目指すのは当然だ」
言いながら、角を2、3曲がるとそこはもうルチの住むガレージだった。
俺は自分ってそんなに思慮が足らないだろうかと、半ば泣きそうになりながらシャッターを潜った。
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