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時刻は夕暮れ。
太陽はもう建物の陰に隠れようとしている。
駅前にいくつかのビルが並ぶ。片側二車線の交差点、駅から広いV字に伸びた2つの大通りは、それぞれ小さなビルが並ぶビジネス街と、そこで働く者達がその身を休める住宅街へとつながっていた。
2つの道はその後大きく弧を描くようにして、3キロ程先の別の駅前で再びV字に合流する。
真上から見ると、南北に2つの駅、東側が住宅街と飲食街、西側がビジネス街と繁華街、という具合だった。
では何故駅を結ぶ道が――わ ざ わ ざ 弧 を 描 い て い る の か ?
2つのメインストリートは、街の中心では1キロ近く離れている。
2つの通りに挟まれ、2つの駅に睨まれるような街の中心。
真っ黒な数十のビルの群。それらを落ちかけた太陽が照らす。明らかに異質な区域――空間。
先程の様に真上から見れば、この街は横に開いた『眼』の様に見えた。
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