【ミスリル】

4/5

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
――知っての通り、表向き『日本』という国は平和で豊かな国た。 清潔な病院で生まれ、教育を受け、仕事があり、住む家がある。それが一般的なこの国の生活だし、法で保証されている部分もある。 が、どんなモノにも『明かされない闇』はある。 密入国者の強制送還や捨て子の保護、もしくは裏の世界で暗躍する人間などをTVで見ることがあるだろう。 しかし、ほとんどの人間はそこまで『日本』という国に溶け込めていない。 戸籍、名前、職、住居……結局それらを手にいれなければ一般社会で生きていけないからだ。 では何処で生きているのか? それこそがこの街の存在意義だ。 豊かさを求め海を渡ったものの、戸籍売買人に捨てられた人間。 圧倒的多数を誇る同族を頼り、しかし自らの劣悪さにより見放されたもの。 多額の借金のカタに、名前から臓器まで全て奪われた男の妻、そして子供。 生まれた瞬間から永遠の孤独を背負った人。 国はそれらを籠に押し込める事にした。 何か事件をおこす前に―――
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加