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――知っての通り、表向き『日本』という国は平和で豊かな国た。
清潔な病院で生まれ、教育を受け、仕事があり、住む家がある。それが一般的なこの国の生活だし、法で保証されている部分もある。
が、どんなモノにも『明かされない闇』はある。
密入国者の強制送還や捨て子の保護、もしくは裏の世界で暗躍する人間などをTVで見ることがあるだろう。
しかし、ほとんどの人間はそこまで『日本』という国に溶け込めていない。
戸籍、名前、職、住居……結局それらを手にいれなければ一般社会で生きていけないからだ。
では何処で生きているのか?
それこそがこの街の存在意義だ。
豊かさを求め海を渡ったものの、戸籍売買人に捨てられた人間。
圧倒的多数を誇る同族を頼り、しかし自らの劣悪さにより見放されたもの。
多額の借金のカタに、名前から臓器まで全て奪われた男の妻、そして子供。
生まれた瞬間から永遠の孤独を背負った人。
国はそれらを籠に押し込める事にした。
何か事件をおこす前に―――
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