日"常"

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******************** 暗い路地、そのやや開けた位置にある建物。看板は崩れ落ちてはいるが、代わりに入口のドアに『トリカゴ』と書かれている。 中からは爆音が漏れる。ライブハウスのくせに壁が薄いのか、建物全体が震えている錯覚さえする。 南の路地から、一人、少年が歩いて来た。 パーカーとジーンズ、スニーカー―『ありあわせ』の様な格好をしているが、幼いながらも精悍な顔つきが、違和感を感じさせない。 少年――美園 霧は【トリカゴ】の前まで来ると、一度右の後ろポケットを触り、辺りを確認する様に見回して、そしてライブハウスに入った。 ス――― 音も無く 路地より細い横道から影が現れた。 影は辺りを警戒している様だったが、すぐにライブハウスの入口へと向かった。 入る寸前、影が右手で何かを投げた。 扉の締まる音。 と同時に 「…がっ……ク…」 ライブハウスの横手から、胸にナイフの刺さった男が現れ、倒れ、動かなくなった。
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