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初めて現場を見た時、
息をするのも忘れていた。
無数のハエ
汚物
そして…死体
この犬舎に強制調査に入る事になったキッカケは、近所住民の通報だった。
「ずっと鳴いていた犬の声が日増しに無くなり、ブリーダーの男が出入りする姿を見なくなってから
近くを通ると異臭がする…」
私はまだ愛護団体に入ったばかりで
里親を探す犬や猫の世話をした事しかなかった。
電話を取った先輩が
「…これはヤバい状況だわ…
一刻の猶予もない…」
他の繁殖場の件も抱えていたため
今は人員不足だ。
先輩は少し考えてから
「まだ…まだ早いと思うけど、
一緒に来てくれるわね?」
私は初めて現場に
出られると思って
とても興奮した。
―バカみたいに…
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