偽りの約束

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偽りの約束

届いた小さな封筒 読めば 全てが終わると悟った がむしゃらに 当ても無く走り 消耗してゆく 身体と心 軟らかく開く 傷口 舐め合う相手など とっくに失った   美しく晴れた空 心に降る雨は いつ頃止むのか 飛び散った ガラスの破片 今もずっと 踏みつけているのに 痛みさえ 忘れてしまった 感じさせてくれた 温もりも 「約束する」と何度も聞いた 「絶対」という言葉も嫌程飲み込んだ 動けなくなるまで 走って 結局着いたのは 自分の部屋 無音の空間に 秒針だけが やけに響く  全てを知りたいと 願った事が 叶った瞬間が こんなに辛いなら 無知なまま 笑っていたかった この願いは もう叶う事はない
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