三日月の夜

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でも、最近気付いたんだ。 俺が強がるたび、久保ちゃんがどこか残念そうな、寂しそうな顔をしてる事に。 久保ちゃんの優しさが俺を、 俺の優しさが久保ちゃんを、 傷つけてたんだ。 こんな時に限っていやな事考える。 そんな時に、久保ちゃんが帰って来てくれて…。 そん時死ぬほど嬉しくて。泣きそうになって。 でも何故か不安に似た悲しみも込み上げて来て。 おもいっきり表情に出てたみたいで、どうしたのか聞かれたけど、自分でもわからなかったし 言葉が出て来なくて、 何も言えなかった。 久保ちゃんが真っ直ぐに俺の目を見つめてきた。 その途端、無理矢理搾り出そうとした“久保ちゃん、早く帰ってきてくれて…ありがと”っていう台詞さえ、飲み込んでしまった。 結局何も言葉を交わすことはないまま、久保ちゃんが先にリビングのソファに向かった。
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