一章 銀狼

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一章 銀狼

  「あ~、やっと終わったぁ。こう毎日暑いとヤル気も出ないよねぇ。」 授業終了のチャイムが鳴ると同時に、瑠華の隣の席で彼女の親友である優希が背伸びをして言った。瑠華は『そうだね。』とだけ言うと、机にかけてあったかばんを手に取り立ち上がる。 「瑠華もう帰るの?早くない?」 「今日は暑いし、早めに家帰ってまったりしようと思って。じゃね。」 優希が笑って『じゃあね。』と言ったのを聞いてから、瑠華は教室を出た。 …瑠華の家は学校から徒歩と電車で30分ほど離れた所にある。彼女が家にたどり着く頃には、暑さのせいで制服のブラウスが汗で湿っぽくなってしまっていた。 「ただいま~。」 両親は仕事の都合で海外に住んでいるので、瑠華は1人暮らしをしていた。締め切られて尋常ではない暑さになった部屋に入りエアコンの電源を入れると、涼しい風が頬をなでて吹き抜けていく。瑠華はラフな部屋着に着替えて涼しくなりはじめたリビングのソファに横になった。頭の中には先程の不思議な生き物の事が浮かぶ。 (犬…にしては大きかったし、何だったんだろう。) ふと、何かの気配を感じてソファから体を起こすと、そこには白銀の毛をまとった狼がいた。 「なっ!何で!?」 びっくりした瑠華は、ガタガタと音を立ててソファからずり落ちる。その時、信じられない事が起きた。  
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