ストーカーのなく頃に~涙流し編~

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――― 知っているだろうか? 街中で全力疾走というのは実はかなり恥ずかしい事だということを。 それはもう、大人から子供まで幅広い年代の人々が振り返り、口々に『えッ!?』という声をあげる。ちょっとKYな人に至っては『キモッ!』という心ない言葉を浴びせてくる…死にたくなった。 とにかく、全力疾走が許されるのはマンガやドラマの世界だけなのだ! というわけで俺は今すごく恥ずかしい思いをしている。 あとで絶対香住のやつに慰謝料払わせてやる! 「はぁはぁ、遅かったか…」 やっと駅についたと思ったら、そこはもうある意味地獄だった。 停められていたであろう自転車は無惨に倒され、花壇の花はことごとく折られ、泣き叫ぶ子供の声が響きわたる。 そして、その泣き声の中に知っている声が2つ…。 「うあああああああああああああん!」 「わあああああああああああああん!」 その二人は周りの子供なんかとは比べものにならないほど大きな声で泣いていた…。 「あはははははははははははははは!」 さらに、耳を澄ますと笑い声まで聞こえてきた…怖いよ!
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