□溺愛カプリッチオ□

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大好きな沙菜から届いたメールにはすぐに気づいたが、すぐに返事をすることは出来なかった。 正直、複雑だ。 メールには祝福の言葉を記したが、本当は祝福などこれっぽっちもしていない。 沙菜が北海道に行く。私から離れて遠くへ行く。そう思うと、どうしようもない程の焦燥に駆られた。 二度と会えなくなるわけではない。距離こそ遠退くが、関係は何も変わらない。 離れるからといって失うわけではない。しかし私にとって、離れることは失うことと等しく悲しいものだった。 「沙菜…どうして。」 もし、頭の中に携帯のようなメモリーカードがあるならば、真っ先に沙菜を削除しよう。 こんなに深い悲しみを知るくらいなら、楽しかった思い出も、分かち合った喜びもいらない。
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