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「……そろそろ行こうか」
少年の父親が言った。
「では天城さん、お元気で」
「ええ、神木さんもお体にお気をつけください」
両親達は別れの挨拶をした。
少年は車に乗る。
少女が車に近寄る。
「約束……忘れちゃ……やだよ?」
「忘れないよ!」
車が走り始める。
「元気でね!」
窓から顔を出して叫ぶ少年の表情は笑顔だった。
少女は泣きながら手を振る。
「瞬ちゃんも……!!」
角を曲がり、少女が見えなくなると少年は泣き出した。
「うっ……ぐすっ……」
「よく我慢したわね……」
母親が優しく頭を撫でる。
父親はバックミラー越しに優しく笑う。
少年は住んでいた街から離れていく。
空には星が見えていた。
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