~オープニング~

4/8
706人が本棚に入れています
本棚に追加
/303ページ
朝が若干苦手な少女であったが、今日はとても清々しい。 それは、窓から差し込んでくる煌めくような朝陽のおかげだけではない。 昨日聞いた、少女にとっては何よりの吉報のおかげだ。 いつの間にか、少女はだらしのない笑みを浮かべながら歩いていた。 今の少女を他の人が見たら、おそらく、何も言わずに道を開けてくれるだろう。 一人でニヤついている変人には誰も近づきたくないだろうから。 しかし、少女にそんな事を考えている余裕はなかった。 思い出されるのは、昨日の夜の話し――。 コンコンと、扉を叩く音が聞こえた。 机に向かって本を読んでいた少女は、背後にあるその扉に首だけ向けると、 「はーい」 と一言。こんな時間に誰だろうと、少女は若干警戒して、扉を開けるのをためらった。 すると、少女の気持ちを察したのか扉の方から、 「あたしよ」 と、ぶっきらぼうな声が聞こえてきた。
/303ページ

最初のコメントを投稿しよう!