706人が本棚に入れています
本棚に追加
/303ページ
朝が若干苦手な少女であったが、今日はとても清々しい。
それは、窓から差し込んでくる煌めくような朝陽のおかげだけではない。
昨日聞いた、少女にとっては何よりの吉報のおかげだ。
いつの間にか、少女はだらしのない笑みを浮かべながら歩いていた。
今の少女を他の人が見たら、おそらく、何も言わずに道を開けてくれるだろう。
一人でニヤついている変人には誰も近づきたくないだろうから。
しかし、少女にそんな事を考えている余裕はなかった。
思い出されるのは、昨日の夜の話し――。
コンコンと、扉を叩く音が聞こえた。
机に向かって本を読んでいた少女は、背後にあるその扉に首だけ向けると、
「はーい」
と一言。こんな時間に誰だろうと、少女は若干警戒して、扉を開けるのをためらった。
すると、少女の気持ちを察したのか扉の方から、
「あたしよ」
と、ぶっきらぼうな声が聞こえてきた。
最初のコメントを投稿しよう!