ラブ・ゾンビ

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「危ない人じゃねぇ、閻魔様の使いだ。」 「だから、一々心を読まないで下さい!」 「見えちゃうんだからしょうがないだろぉ?」 「………ちょっと待って下さい。閻魔様の使い?私自身が変な存在なので、その存在は認めますが、いったいその使い様が、何のご用ですか?」 「おっ、話が速いな。じゃあ早速、そのご用を話すわ。」 そう言うと使い様は、近くの岩に「よっこいしょ」と言いながら座りました。 そして、手元の書類の束を何枚かめくり始めました。 「……あった、これだ。上山蘭、非合法的生存の罪。」 「……何ですか?」 「非合法的生存の罪。つまり、閻魔様の許可無しで勝手に生存した罪だな。」 「は!?ちょっと待って下さい、私が生き返ったのは…」 「話は最後まで聞けよ。分かってるよ、願ったら生き返ったんだろ?それはこっちの手違いだ、スマン。だから、その責任として、こっちも早急に手を討とうとしたんだが…ちょっと問題がな。」 「問題…?何ですかそれ?」 「お前が人間に会って、そいつの記憶に残った事。」 「えっ…?」 「高崎海音だっけ?そいつに会って、そいつにお前がゾンビだっていう記憶が残っちまった。それはまずい事なんだ。死んだ人間が生き返るっていうのは、生きてる人間が知っちゃいけない事になってる。」 「なんで…ですか?」 「それを知った人間が、一生懸命に生きなくなる。命の危険を感じなくなる。例えば『太りたくないから、一回死んで生き返り、痩せてる体をキープする』とか『これは危険な物だけど、死んでも生き返れるから大丈夫だ。』みたいな事になる。」 「でも、海音くんはそんな事をする訳ないですし、秘密をばらすような事もしませんよ!」 「自分以外の人間を、100%信じられるのか?どんな時でも、自分が思っているような人間像でいてくれるのか?それじゃあまるで、お前の意思で動いてる人形みたいだな。そんな人間、いないよ。だから、秘密をばらさないとかの証拠は、どこにも無い。」 …………スッゲェ泣きそうな気分です。 「ちょ…涙目になるなよ……わかった、謝るよ。ちょっとからかいすぎた。だからもう泣くなって。」 「泣いてませんよぉ……」 「……めんどくせー仕事引き受けちまったな……」 使い様がクルクルパーマの頭をボリボリと掻きました。超余計なお世話です。
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