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照太と凛の顔が、強張った。
「武器は日本刀のみ。照太くんは武士道と侍魂を大事にな。ルールは先に殺した方が勝ち。リタイアしたい時はボクに言ってな。一発で昇天させたるから。じゃ、二人とも通路に出て。」
照太と凛は、山本に日本刀を渡されると、暗い表情で、細い通路に立った。
「凛、一つ聞いてもいい?」
照太は、凛を呼び捨てで呼んでいた。
「…何?」
「俺と凛が戦うって事は、凛も俺の事、好きなの?」
「………うん…」
「……わかった…」
少しの沈黙が続いた。
「うんうん、青春やなぁ。」
山本は、腕を組んで頷いた。
「それじゃぁ二人とも、準備はえぇか?」
二人は答えなかった。
「始めるでぇ。ヨーイ、スタート!」
山本が開始を告げると、凛の表情が変わった。
凛は日本刀を両手で持ち、照太に向かって振り下ろした。
それを照太は、ギリギリの所で日本刀で受け止めた。
「り、凛!?」
「ゴメン、照くん。私、自分の命が大事…!」
凛は泣いていた。
照太は凛を押し返して、間合いをとった。
「凛、俺は君を殺したくない!」
「じゃぁ照くんが死んで!私を好きなら、本当に私を大切に思うなら、私のために死んでよ!」
山本が、紙に何かを書いていた。
「…………凛、少し待っててくれる?」
「……いいよ。」
照太はある事を考えた。
「……ん?どないした?」
山本の前に、照太は立った。
「山本さん、あなた多分いい人だと思う。」
「おっ、こんな事言われたのは初めてや。嬉しいなぁ。」
「だけどやっぱり、あんたも所詮、政府の犬だ。」
「ウォッ?急にヒドイなぁ照太くん。こう見えてもボク、結構上の方の地位に゙ぃっ……!」
照太は山本の喉仏に、日本刀を刺した。
「あ゙が…あ゙がぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」
喉から大量の血を吹き出し、なにか呻いていた。
だがすぐに、眼球を半回転させ、目を真っ白にして倒れた。
しばらく痙攣していたが、すぐに動かなくなった。
「凛、これが俺の考えられる、最良の案だよ。これでもう、殺し合う必要は無い。」
そう言って、照太は凛に笑顔を見せた。
「い…嫌っ…」
凛の涙は止まらなかった。
「凛…?もう大丈夫だよ?」
照太が凛に近付いた。
「嫌ぁあ!来るな、人殺しぃぃい!!」
凛が日本刀を振り下ろした……
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