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…………目覚めると、バスの座席に座っていた。
周りを見ると、クラスメートや先生、運転手、ガイドも、全員居た。
夢だった―
照太はホゥッと、ため息をついた。
―何事も無かったように、友達は笑っているし、
ガイドも相変わらず、つまらない話をしている。
そうだ、夢だったんだ。
政府が、あんな実験をするはずもない。
バスにオートパイロットなんて、あるわけない。
夢だったんだ。
夢だったんだ。
夢だったんだ…
凛はどこだ?―
バスの斜め前の席が、あいていた。
「お、照太起きたんだ。」
春香が話し掛けてきた。
「おい春香、凛は?」
「ハァ?凛なら、あんたが殺したんじゃない。」
春香が言っている事の意味が、理解できなかった。
「ゴメン、も、もう一回言ってくれないか?」
「だからぁ、あんたが殺したんでしょ?覚えてないの?
山本さんを殺した後に、襲ってきた凛の首を絞めたじゃない。全部見てたんだからぁ。」
夢じゃなかった。
改めて見ると、バスのあちこちや照太の服には、大量の血が着いていた。
「ねぇみんなー!照太、凛を殺したの、覚えてないってさー。」
春香が大声で言うと、友達、先生、運転手、ガイドの全員が、照太をジッと見て、言った。
「大切な人を殺しておいて、よく平気でいられるな!」
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