ラブ・ゾンビ

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今ここに、金属バットを持っている人が居るなら、校内黙示録的に私の頭を潰してほしいです。 今の状況を一言で説明しますと、気まずいです。 二言で説明しますと、超気まずいです。 ただ今、私と海音くんは、一つの岩の上で隣り合わせで座っています。 木にエルボーをくらわせて遊んでいた所を発見された私は、とっさに「これは幻想郷に行く唯一の方法なの!」と訳のわからない言い訳。私の脳細胞を怨みたい。 その次に、私が生き返った事の成り行きを説明。もちろん、告白の所は伏せて。 すると海音くんは、「少し整理させて」と言ったので、私は近くの岩の上に座って、海音くんが落ち着くのを待つ事にしました。 そしたら、その隣に海音くんが座ってきました。なぜ隣? そして現在に至る。 人間だった私なら、フラグだと喜ぶでしょうが、今の私はゾンビです。事情が違います。 とりあえず、この⑨も凍える空気の寒さ…つまり無言の一時を、どうにかしなければ。 「……落ち着きました?」 「うん…なんとなく。」 よかった、話せる状態みたいです。 「本当にゾンビなんだね。」 「…傷口も見てみます?」 「いや、いいよ。それは上山も気まずいだろうし。」   海音くん、紳士です。ストライクです。 「上山って、いつもここに居るの?」 「はい?えぇ、そうですけど。」 「夜も?」 「ずっとです。」 「寂しくない?」 「………寂しいに…決まってます………」 本音です。ガチな本音。時々泣きたくなる夜もある程です。 「……わかった!俺が暇な時は、上山の所に行く!夜もだ!」 「は……ええ!?」 突然の申し出に、驚きを隠せません。 「こんな所に一人にするなんて、心配だからな。」 「そんな……悪いですよ!海音くんにわざわざそんな事させちゃうなんて…!」 「じゃあこれならどうだ?『俺はこの林が好きだから、毎日のように散歩に行く。決して上山のためじゃない。』これなら文句ないだろ。」 ……何ですか、そのツンデレ的な言い訳は…… 卑怯です。 「……勝手にしてください。」 「よし、決定。」 そう言うと、海音くんは岩からピョンと飛び降りました。 「あ、それとさ……」 海音くんが私に振り向いて、言いました。 「そろそろ敬語、やめたら?」
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