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中学3年の三学期が始まってすぐのことだった。
それは進路希望の最終決定前日の放課後━━━
「お前さ、高校どうするよ?」
「俺?まだ決まってねぇ」
「ならさ、吉本と同じとこいこうぜ」
「無理だろ。学年トップクラスのあいつと学年最下位のお前じゃ絶対無理だ」
「そんなことはないって。推薦してもらえばなんとかなるって」
「いや、無理」
「とりあえず職員室いこうぜ!」
と、強引に俺を引っ張って職員室へ。
「おう、川村、丁度よかった。お前宛にこれが届いてる。後で確認してくれ」
と、B4サイズの茶封筒を渡された。
「あの、これ何━━」
「先生!吉本の行く学校の推薦、下さい!」
俺が何かと聞き返す前に割り込んできやがった。しかも単刀直入過ぎる。
「んーと、吉本は……東葉月学園か?お前には無理だ」
「何でだよ!?」
「学力、出席状況、授業態度、その他いろいろ、推薦に必要な最低条件をひとつも満たしていないだろう。それに、あの学校だけは、向こうから推薦状が来ない限り、推薦することはできない。諦めるんだな」
「そんなこ━━━」
「失礼しましたー!」
反論しようとする松茸を抑え、職員室を後にした。
「川村、それはなんだ?」
教室に戻ると、吉本がそう聞いてきた。
「職員室で渡されたんだ。開けてみるか」
中には数枚の紙。その一番上の紙に書いてある最初の一行を偶然にも3人一緒に口にした。
「「「東葉月学園推薦状?」」」
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