・第五編 少年

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遥か空の水平線で 今日という日が 終わりを告げようとしていた。 ──ある日の夕方   私は少女と二人でいる   詩人を見掛けた ふいに話し方が変わるのを 少女、<ロザリア>は感じた。 その唇はまるで 自分の昔を 自分の心の奥の思い出を 語るような──それをしていた。 滑るような口調で詠い続ける男は 陽とは逆の方を 眼を細めて眺めていた。 その視線の先にある者。 それは── 一人の少年の姿だった。 ──嗚呼、あの時が懐かしい  私がまだ   幼かった日のこと その少年が 彼らのいる浜へ 小さな足で向かってきた。 そして 彼がそこへ辿り着くと 少女は彼に問うた。 ──ねぇ、あなたは誰 そう問い掛けた。 けれど そう訊かれた少年は 奇妙にも 詩人と同じ答えを返した。 それに続く問いも 彼女は詩人に対して訊いたそれと 全く同じことを訊いた。 すべて一緒だった。 何もかも── そう、一言も狂うことなく──
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