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遥か空の水平線で
今日という日が
終わりを告げようとしていた。
──ある日の夕方
私は少女と二人でいる
詩人を見掛けた
ふいに話し方が変わるのを
少女、<ロザリア>は感じた。
その唇はまるで
自分の昔を
自分の心の奥の思い出を
語るような──それをしていた。
滑るような口調で詠い続ける男は
陽とは逆の方を
眼を細めて眺めていた。
その視線の先にある者。
それは──
一人の少年の姿だった。
──嗚呼、あの時が懐かしい 私がまだ
幼かった日のこと
その少年が
彼らのいる浜へ
小さな足で向かってきた。
そして
彼がそこへ辿り着くと
少女は彼に問うた。
──ねぇ、あなたは誰
そう問い掛けた。
けれど
そう訊かれた少年は
奇妙にも
詩人と同じ答えを返した。
それに続く問いも
彼女は詩人に対して訊いたそれと
全く同じことを訊いた。
すべて一緒だった。
何もかも──
そう、一言も狂うことなく──
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