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優しい音色が
沈む夕日を背に
一人の詩人に
紡がれている。
──ねぇ、あなたは誰?
そう彼に尋ねる女の子。
彼女はどこか
悲しげな顔をしている。
それを
瞳を閉じて
その声すらも
聞こえていないように
詩を詠い続ける男。
彼の名は──<ロヴェルト>。
──ただの旅人。ロヴェルトさ
詩の中で答える
その男の
コバルトブルーの瞳には
彼女の姿は映っていない。
少女は
尚も彼の詩を聴いた。
飽きることもなく。
それから陽が沈むまで──
月明りが
彼らを照らすその時まで
広大な海の色の
その瞳を持った男は
"誰か"の為に
詠い続けた──
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