・第一編 詩人

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優しい音色が 沈む夕日を背に 一人の詩人に 紡がれている。     ──ねぇ、あなたは誰?     そう彼に尋ねる女の子。 彼女はどこか 悲しげな顔をしている。   それを 瞳を閉じて その声すらも 聞こえていないように 詩を詠い続ける男。 彼の名は──<ロヴェルト>。     ──ただの旅人。ロヴェルトさ     詩の中で答える その男の コバルトブルーの瞳には 彼女の姿は映っていない。   少女は 尚も彼の詩を聴いた。   飽きることもなく。   それから陽が沈むまで──   月明りが 彼らを照らすその時まで 広大な海の色の その瞳を持った男は "誰か"の為に 詠い続けた──
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