・第三編 約束

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──大切な人はいますか   今も想い人はいますか   澄んだ蒼い眼をうっすらと開け 男は未だ詩を詠んでいる。   ──約束が   詩人の口調がやや速くなる。   ──私にはあるから   そのリズムは 決して遅くなることはなく 徐々にそれは増す。   ──十と五つの月が昇る   その日の夜に   私は戻る約束をした   男が弾いている その小さなギターの張り詰められた弦は まるで 彼の心を表しているかのように 小さく震えていた。   ──それが今日の日   星が瞬くその夜に   私は帰る   私は還る   男は尚も詠い続けた。   その時も 少女は彼の美しい歌声を 静かに 本当に一切の音をも出さずに 目を瞑り 聴き そして魅入っていた。 ──約束があるから…
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