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げーげーと胃の中を丸ごと放り出し胃液すら出てこなくなった後、俺は遺体×3のあったリビングから廊下へと這うように逃げ出しひとまずどうすればいいのかを考えた。
「……そう、だ……警察……!」
こんな時こそ市民の味方、困った時のおまわりさん。そう思うとお先真っ暗な世界の中に差す一筋の救いの光。おまわりさんおまわりさんおまわりさん万歳! なんかもう国家権力と結婚したくなってきた。
死体展覧会のようになったリビングの存在を無理矢理頭の外へとどかし、着ているブレザーの内ポケットをまさぐると手に取ったのはもう俺の分身と言ってしまっても過言ではないメタルブラックのケータイ電話大明神様である。ちなみにスライド式。
今はもう神々しくすら感じるそのケータイで、俺は警察に通報を……。
「…………」
──何番が警察だったかを忘れてしまっていることを忘れていた。
しょうがないので適当にボタンを押してみる。題して、下手な鉄砲数撃ちゃ当たる戦法。
……見れば分かると思うが俺は今冷静を装おうとして実はいまだかつてないほど混乱している。
18782(嫌な奴)
37564(皆殺し)
014129(おいしい肉)
恐怖に震える俺の指がとてつもなく不穏な番号を押した。畜生この指引っこ抜いてやろうか。
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