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──今思うと“美幸ちゃん”は幼稚園年長組にして既に末期の中二病だった。末恐ろしい幼女である。
とりあえずここまでで理解して欲しいことは、彼女とのあの会話以来俺の顔の右半分はぽっかりとテニスボール一個分は埋め込められるような空洞が空いてしまっているということだ。
俺が彼女に素手で右目を抉られた後、幼稚園の先生も親も周りが半泣きになって騒いでいた中で驚くべきことにガキの頃の俺は顔の右側にある空洞からだらだらと血を流したままこう言ったそうだ。
『美幸ちゃんが欲しいんなら、“それ”あげるよー?』
──馬鹿だろ俺。何言っちゃってんだよガキの頃の俺!
ちなみに俺の馬鹿な発言のせいで十年経った今でも右目とやらはいまだに美幸ちゃんが所有しています、おーまいがー。
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