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私は森の中にいた。
木々の間から太陽の明かりが差し込み清々しい気持ちだった。
森の中を歩いていると少し広い場所に出た。そこは雑草が生い茂り、古びた寺があった。
屋根瓦は所々崩れ落ち、障子はボロボロで見るからに何年も住んでいない感じだった。
私は少し気味が悪いと思いつつも中に入った。中は薄暗くカビ臭い。
足を出す毎に床が軋(きし)み、埃を被った床に足跡が残った。
ひと通り中を見回ったけど特に気になる物はなく、外に出ようと入り口まで戻る途中ある異変に気付いた。
入って来た時の足跡が二人分あった。
私の後に誰か入って来た気配はなかったし、床が軋む音もしなかったのに…。
私はその足跡を辿った。
その足跡は私の足跡の横に沿うように並んでいる。私の歩幅と同じ間隔で…。
…ずっと同じようについて来ている。
…まさか……私の後ろに誰かいる…?
そう思った瞬間背筋に悪寒(おかん)が走り、すぐ後ろで床が軋んだ。
……ミシ……
私は首筋に流れる汗を感じながら恐る恐る振り向いた。
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