~夢~

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そこには私より少し背の高い三十半ばの小太りの男が立っていた。 男は長い髪を後ろで纏(まと)め灰色の着物を着ていた。 「やっと見つけたぞ。もう逃がさないからな」 男は怒りの形相で私の腕を掴み奥に連れて行こうとした。 私は必死に抵抗したが男の力には到底適わず、一番奥の部屋に引きずり込まれた。 部屋には行灯(あんどん)がひとつ。 ゆらゆらと妖しい灯りを放ち、男の影を不気味に揺らしていた。 「もう馬鹿な真似が出来ないようにしないとなぁ」 男はそう言うと私を力ずくで押し倒して自分の着物の帯を外し、私の両腕を縛った。 私は身の危険を感じ力いっぱい抵抗すると男に顔を殴られた。 「無駄な足掻(あが)きはするな!お前は俺を裏切ったんだ。裏切れば償(つぐな)うのが筋だろう?」 男はニヤリと笑い、泣き叫ぶ私に顔を近付け唇を重ねた。
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