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「少し早いかねぇ」
シヅエは由紀子の腹をさする。しわしわに年輪を刻んだシヅエの手は、とても暖かく頼もしさがあった。
「まぁ、大丈夫。今まで沢山お手伝いしてきたからね」
シヅエはまた、くしゃと笑った。
雅人もシヅエに取り上げられた。今この村に欠かせないベテランの産婆である。
一緒に来た中年男は、シヅエの息子の和男。気の優しい男なのだが、未だに乳離れが出来ずに独り身でいる。
「さて、これから頑張ろうねぇ」
そして、だんだん陣痛の間隔は短くなり、少しずつ、その時は近付いていく。
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