42人が本棚に入れています
本棚に追加
今からずっと昔、この村に一人の修行僧がやって来た。その僧は己を鍛える為一本の杖を持ち各村々を回っていたと言う。
村人は快く僧を持て成し、村にある寺を宿として貸した。
その夜、僧は読経していると一人の女が寺にやって来た。女は親が決めた結婚相手がとても乱暴者でいやらしい男だから自分を一緒に連れて行って欲しいと願い出た。
僧はその女をとても可哀想に思い願いを聞き入れたが、せめて両親には一言伝えなさいと家に帰した。
しかし、次の日女の両親からその事を聞いた縁談相手は腹を立て、寺に押し入り僧を殺してしまった。その後、逃げようとした女も男に捕まり殺した。
その次の年の夏、とても暑い日だった。
男が山に入っていると奥の方からうめき声が聞こえた。誰かの悪戯(いたずら)だと思い、声のする方へ向かうとそこには殺した僧と女が立っていた。
驚いた男はその場から逃げると急に激しい雨が降り出し足場が悪くなってきた。
振り返ると僧と女が追い掛けて来るのが見え、男は足取りを早めようとした時、足を滑らせ側に立っていた木に頭を打ち付けた。
男は不運か僧と女の呪いなのか首があらぬ方向に曲がり死んでしまった。
その日は僧と女が殺された日だった。
最初のコメントを投稿しよう!