~昔話~

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「こりゃひと雨来るなぁ。母ちゃん帰るぞ。」 叔父さんは残りのビールを一気に飲み干し、他の親族も帰り支度を始めた。 「由紀子、わしらもそろそろ帰るよ。」 お父さんが腰を上げると雅人も立ち上がった。 「雨も降りそうだし、今日は泊まっていって下さいよ。」 「いや、祖父さんを長い間一人にしておけないからな。」 私の実家はこの村から車で三時間掛かる上に、お祖父ちゃんは腰を悪くして留守番をしていた。 「それは仕方ないですね。じゃあ、今度はそちらへ遊びに行きますよ。」 二人はそのまま玄関へ向かった。 「由紀子、出産のお手伝い出来ないのは残念だけど頑張ってね。」 「うん、ありがと。」 私達は玄関先で皆を見送り、最後の車が見えなくなった後にポツポツと雨が降り出した。
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