*夏雲*

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「苺(イチゴ)、あんた顔にやけてるよ。」 バシッ、と 頭を下げかけていて無防備になっていた後頭部を思いっきり叩かれる。 「沙耶(サヤ)…容赦なしですね。」 叩かれた場所をさすりながら頭を上げて 叩いた張本人を軽く睨む。 沙耶と呼んだ子は私の前の出席番号で私の親友 “鈴木 沙耶(スズキ サヤ)” 私の方に体ごと向かい会うように座っている。 沙耶は大人っぽくて美人。 ショートカットがよくお似合いです。 「ニヤけてなんかいません」 「ニヤけてた。 あんたはすぐ顔にでるんだから。 また、バイト先の人?」 沙耶は胡座をかくように座り肘を立て顎に手を乗せる。 まさしくオジサンみたいです。 けど、沙耶だから許せちゃいます。 ……本当、美人ですから。
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