嘲笑の陰

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暗い部屋で明かりも点けずに泣き続けていたが、明日の予定を考えると行動を起こさなければならない。 窓辺に寄るとガラスには険しい顔をした女が映っていた。 私、こんな顔をするようになったのね。 複雑な気持ちで取り付けたばかりのカーテンを閉める。 鞄から携帯を取り出すと叔父に電話をかけた。 叔父に運転手が一人で訪れた事を話すと、この部屋を引き払い仕事を辞めて共に暮らそうと改めて言ってくれる。 それは出来ない。 ここでやるべき事があるから。 叔父に位牌を取りに来てくれと頼んだ、位牌が無ければ上がり込む理由が無い。 暫く押し問答が続いたけれど叔父が車で位牌を取りに来る事になった。 叔父が到着した頃には深夜になってしまった。 運転手はどう考えてもおかしな人物であり一人でいさせられないと再度説得をされる。 それでも私は頷かない。 ごめんなさい。 有り難みは充分に感じているけれど。 時間だけが経ち諦めた叔父は決して運転手を家に入れない様に言うと位牌を持ち帰った。 明日。 行う行動はどんな波紋を起こすのだろう。 上手くいくのだろうか? 時間は? 言葉は? 何度も重ねるシミュレーション。 明日だけで終わってはいけない。 最大の効果が起こる様に布団の中で考えながら寝付かれず朝を迎えた。
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