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「わぁ、ひさしぶりだね!相変わらずすごく可愛いよ?」
…どくん!どくどくどくどく。
止まっていたと思っていたのはどうやら溜めだったらしい。次にくるハイテンポに備えていたようだ。一気に心臓がうるさくなった。
空葉があまりにも昔のままだから。
恥ずかしげもなく可愛いとか言うから。
顔の火照りが止まらない。
とりあえず空葉の隣に腰をおろした。
すると、突然空葉が頭を撫でた。びっくりして背筋が伸びる。
「あ…ごめんね…?嫌だったよね。紅葉にも散々注意されたのに…。緋姫ちゃんの髪の毛サラサラです綺麗だったからつい…」
サラサラ?綺麗?
気に入ったのなら摩擦で燃えるまで撫でていていいと言おうとしたとき、背後から声がした。
「あ~!空葉のバカ!隣は開けといてって言ったのに!」
火照っていた熱が一気に冷めた。
今、空葉さんになんて言いました?バカ…?
ふざけるな。
頭に別の熱が充満し始めたころ、少女は緋姫に話しかけてきた。
「ね、ね!お願いだよ!その席譲って!ね?」
「お断りします」
少女は驚いた顔をする。
席にたいした執着がないと思っていたのだろう。
「えっと、あのね?私、空葉のお母さんから学校の面倒見るように言われてるんだぁ。だから…」
「だから、なんですか?だったら私が面倒みます。空葉さんのお母さんには今日、ご挨拶に伺いますので」
しかし、少女も引き下がらない。
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