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「手、繋いでよ空葉。そうじゃないとまた転ぶよ?」
「え…うん。わかった」
唖然として緋姫は動きを止めた。しかも、紅葉は繋いだ手を徐々に絡めて俗にいう恋人繋ぎに移行した。
「空葉、4月でも肌寒いね。くっついていい?」
「ん?いいよ?」
紅葉は手を絡めたまま自分より少し小さい空葉に抱きついた。疑問にたいして疑問で返すのは空葉のクセだ。
ここで、緋姫の我慢に限界が来た。問わずにはいられない。
「お二人は…恋人同士なんですか…?」
空葉は一瞬だけきょとんとして動きを止めた。
恐怖に負けないために、空葉からは見えない左手を強く握った。
「ん~と…違うよ?僕って変わってるみたいなんだ。普通だと思うんだけど…。でね?将来、好きな子が出来てもなにも出来ないだろうからって、紅葉が恋人にはどう接するべきなのかを毎日教えてくれてるんだよ?」
なんだその特殊な関係は。
というかそれは多分、紅葉が空葉といたいが為の口実だろう。空葉の気持ちはどうあれ、紅葉の方は空葉が好きらしい。
「そうなんですか……じゃあ…邪魔者は早く消さなきゃ…」
自分以外には聞こえないように、緋姫は呟いた。
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