1.空に緋色が混じるとき

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大丈夫、私には勇気の源がある。 ちら、とポケットのハンカチを覗く。そしてふと気づく。 これは空葉から貸してもらった出会いの品だ。 返さなくては。 「………」 返さなくては。 「……」 返さな……い。 返せないし。 これが無くなっては自分と空葉の繋がりがなくなってしまう。それは嫌だ。 「じゃあ、空葉?お風呂入ってから空葉の家に行くからね?」 「うん、お母さんに伝えとくよ」 お風呂入ってから家。 短絡的に浮かぶのは男女の関係。そういえば恋人にたいする接し方とか言っていたけど、どこまでなのだろうか。 「あ、あの!?私も行っていいですか?」 この発言に今度は紅葉が反応する。 「え、ほら!あんまり大人数で押しかけると空葉のお母さんが迷惑だし!」 「え?うちなら平気だよ?なんなら道場でお茶する?」 軽くお金持ちな空葉の父はなんとなく、道場を作った。 なんだか知らない武術をさんざんたたき込まれた。 「まぁ、それは大袈裟だとしてもとにかく問題はないよ?」 「うぅ~。じゃあ、後から行くからね…」 してやったりな緋姫だった。
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