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大丈夫、私には勇気の源がある。
ちら、とポケットのハンカチを覗く。そしてふと気づく。
これは空葉から貸してもらった出会いの品だ。
返さなくては。
「………」
返さなくては。
「……」
返さな……い。
返せないし。
これが無くなっては自分と空葉の繋がりがなくなってしまう。それは嫌だ。
「じゃあ、空葉?お風呂入ってから空葉の家に行くからね?」
「うん、お母さんに伝えとくよ」
お風呂入ってから家。
短絡的に浮かぶのは男女の関係。そういえば恋人にたいする接し方とか言っていたけど、どこまでなのだろうか。
「あ、あの!?私も行っていいですか?」
この発言に今度は紅葉が反応する。
「え、ほら!あんまり大人数で押しかけると空葉のお母さんが迷惑だし!」
「え?うちなら平気だよ?なんなら道場でお茶する?」
軽くお金持ちな空葉の父はなんとなく、道場を作った。
なんだか知らない武術をさんざんたたき込まれた。
「まぁ、それは大袈裟だとしてもとにかく問題はないよ?」
「うぅ~。じゃあ、後から行くからね…」
してやったりな緋姫だった。
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