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紅葉と別れ、二人で歩き出すものの、何を話せばいいのかわからない。
あれからのこと?
これからのこと?
自分が空葉に抱いている想い?
様々な考えが巡る中、空葉はふと思いついたように話しかけてきた。
「ね、緋姫ちゃん?手、繋がない?」
「ひわっ!?な、何故ですか!?」
「あ…嫌ならいいんだ、なんでもないよ?」
自分の過剰な反応を空葉は拒絶ととってしまったらしい。
苦笑いして、差し伸べた手を引っ込めてしまった。
「あ!?違うんです!どうして急に…と思っただけで嫌だなんてとんでもないです!」
背が低い空葉は緋姫の顔を見上げて、ほんと?と聞き返す。
可愛い。
「ほんとです!是非お願いします!」
「うんっ!」
徐々に手が迫ってくるにつれ、心拍数が上昇する。
しかし、空葉はなんの遠慮もなく、触れた。
「っ!」
心臓がひときわ大きく脈打って、息が詰まった。
「ふふっ、緋姫ちゃん暖かい。あのね?手をつなごうとしたのは緋姫ちゃん初めて会ったときも転んでたでしょ?だから転ばないようにと思ったんだけど…僕もよく転ぶからあんまり意味ないね…えへへ」
照れ笑いする仕草すら愛しくて、緋姫は繋がれた手に少し力を込める。
「でも空葉さんは暖かいです…それで…十分です」
「ほんとに?…なら、いくらでもつないであげる…なんて調子に乗りすぎだね」
そんなことない!と言おうとしたのを空葉に止められた。
「ここ、僕の家だよ?」
まだ手をつないでほとんど経っていないのに。
少し切なくなりながらも、空葉が示す方を見た。
一言で表すなら豪邸だ。
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