1.空に緋色が混じるとき

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言葉がでない。 嬉しいのに。 感情をこめない言葉を今までに繰り返しすぎたからかもしれない。 「緋姫ちゃん?どうしたの?顔真っ赤……。熱があるの?」 顔がさらに近づき、さらには触れた。 唇ではなく、額同士だけれど。 「すこし熱いよ?急ごう?」 空葉はそういって手を引いて歩き出した。 緋姫の家なんて知らないくせに。 けれど真剣に。 少し歩いたところでなんとなく、空葉には似合わない携帯をポケットから取り出した。 「紅葉?ごめん!今日は無理みたい!えっ?理由?緋姫ちゃんを看病するから!じゃっ!」 早口で空葉は言い終え、通話を切った。 「急ごう?」 そう言って空葉は方向転換した。 「あの…看病って…」 「うん、まさか緋姫ちゃんの部屋に上がり込むわけにもいかないし、僕の部屋で看病しようかなって…やだ?やならすぐに緋姫ちゃんの家まで運ぶから言って?」 渚 緋姫、人生最大の2択。 空葉に抱き抱えられて家までいくのも捨てがたいが、緋姫が選んだのは…。 「空葉さんのお部屋で…お願いします…」
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