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緋姫は歩いていた。
緋姫は家が嫌いだった。
家ではいっつも両親は喧嘩をしているのだ。緋姫に被害が及ぶことはないけれど、その空気が嫌いだった。
空気を読む五歳児、緋姫。
「あ、バウムクーヘンみたいな雲さん…。待ってください…一口だけ…」
彼女もまた、ズレていた。
しかし緋姫はそれでは終わらない。
トテトテと雲を見上げて歩いていれば当然五歳児は足元になんの注意もしてないわけで。
ましてや二歩先に石が半分だけ顔を出してることなんて知ったこっちゃない。
かつっ、と緋姫は足を引っ掛けた。
「あ…」
バランスをとれず、緋姫はいとも簡単に転んだ。
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