刑事純情物語

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「お前が、やったんだろ?」 「……。はい」  男は小さく、うなずいた。 二人の目線は、机の中央に置かれたビニール製の袋へと注がれる。その中には、生々しく輝く一本のナイフが納められていた。 男を皮肉るような、鈍く痛々しい輝き。 赤く汚れているのは、刃の錆(さび)のせいではない。血液が乾いた物なのだ…。 二日前。 この警察署から二キロほど離れた公園で、女性が刺された。 凶器はナイフ。脇腹をかなり深く突かれたらしく、発見された時にはもう女性の意識はなかったようだ。 それでも命に別状がないのは、幸いと言えようか…。
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