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「……そうか」
刑事は椅子に深く座ると、胸のポケットからタバコを取り出し、口にくわえた。
「取引先の御令嬢とねえ…。そのために、今まで付き合っていた彼女が邪魔になったって訳か」
「……」
男は、泣いていた。
「……馬鹿な事を」
煙を吐きながら、刑事は言った。
「そんな事のために、彼女を刺したのか」
「……」
嗚咽を漏らす男。
「鬼だな。お前は人じゃない」
「……!」
「最低だ」
後悔してるのだ。これから罪を償おうとしてる人間に、言い過ぎなんじゃないか?
男は、涙に濡れる瞳で刑事を睨んだ。
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