刑事純情物語

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「一生物の傷を、二つも負わせやがって」 「……え?」 男は奇妙な声を出した。 「ちょっと待ってください、刑事さん」 「何だ」 「僕は一度しか刺してないよ」 男は、身を乗り上げた。 「しかし、間違いなく彼女には傷が二つあったぞ」 「嘘だ、そんなはずない。僕は彼女を刺してすぐに逃げたんだ。二度も刺す余裕なんか……」 「彼女には傷が二つあった」 「嘘だ!」 「本当だ」 ジリジリと灰皿にタバコを押し付けながら、刑事は男を見た。 「いい加減、観念しろよ」
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