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今より遥か昔・・・しがないパン職人がいた
男は古く寂れた工房で、毎日一斤10円にもならないパンをひたすらに作り続けた
しかしなんの不満もなかった。男には最愛の女房がいたからだ
男は彼女となら、どんな困難でも共に歩んでいけると確信していた
しかし現実は甘くない
男と彼女は生計がたてられなくなり、飢餓してゆく
家にあるのは安っぽいパンだけ
当然男は彼女に売り物のパンを食べさせようとした
しかし彼女は拒んだ
一斤10円程のパンすら食べずに我慢したのだ。
自分は大丈夫だから・・・・と、けなげに笑ってみせた
男は、そんな彼女のためにもパンを作り続けた
全く売れないのには何か理由があるのだろうか・・・・
そんな日々が続き、男の幸せは徐々に、崩れていった
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