愛とパン

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とうとう彼女の様子がおかしい・・・・   最近、口数も減った   やがて彼女は病床についた  弱る彼女の口にパンを無理矢理運ぶ   彼女は渋々一口食べると、喜びながら『一口でいい。ありがとう』と言う その笑顔は儚くも美しかった   男は自分が情けなくなった。パンと最愛の女。どちらを天秤にかける?かけるまでもない     男はパン職人を辞めた     彼女の為に自動車整備の仕事に就いた   比べ物にならない給料   パン職人への未練はあった。しかし、彼女の為だと言い聞かせた   男は毎日毎日汗水垂らして働いた     次第に手はパン職人のものでなく、煤と火傷にまみれた汚いものとなっていた   しかしそれも彼女の為―― その日男は奮発してメロンを買ってあげた   喜ぶ顔を想定しながら帰宅すると・・・・苦しみもがく彼女がいた   彼女は、弱っていた為免疫が低下していた 故に、病にかかってしまった   病院に行かなければ・・・・しかし、そこまでの余裕はない   仕方なく彼女を寝かせておくことにした   男は彼女が心配ながらも、仕事へ出掛けた  
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